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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
<妄想>です。
実在する地名・人名・団体名が登場しても、それは偶然ですので、まったく関係ありません。
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ドアが開くと、そこに立っていたのは見知らぬ女だった。
いや、佳苗に良く似た知らない女だ。
その女は俺を見ると、「しまった」という顔をした。

宗一郎「誰だ?」
女  「流石、お兄様ね。私が佳苗じゃないことすぐにわかるのね。」
宗一郎「当たり前だ。」
女  「まぁ、いいわ。そろそろあなたと話をしなければと思っていたところだから。」
宗一郎「・・・?」
女  「私は、珠絵。あっ、私は最初からこの身体のなかにいたのよ。というか、全員そうだけどね。」
宗一郎「どういうことだ?」
珠絵 「その、言葉の通りよ。まったくあなた達が余計なことをしてくれたお陰で私の計画が狂ってしまったわ。あなた達が望だと思っている子は、アン。私が封印したのに、わざわざ起こしてくれちゃって知恵までつけさせて、迷惑だわ。」
宗一郎「いや、でもショウが望だと言っていたぞ。コントロールしていたのも自分だと。」
珠絵 「だから!それは私がそう思わせていたの。じゃないと生きていられないから・・・。」
宗一郎「どういうことだ? 」
珠絵「仕方ないわね。あなたには協力もしてもらいたいし、全て説明するわ。」

そう言って、望の身体の中で起きていた今までのことを説明してくれた。

そもそも望の中には生まれた時から、望と佳苗と珠絵とそしてアンがいたという。
生まれた時から人格というものがあるのかどうか俺には謎だが。
更に、3歳で亡くなった佳苗にもいくつかの人格があったのではないかという。
望のオリジナルは望で。その望というのはショウのことだ。
佳苗が亡くなった時の美鈴の言葉にショックを受けたショウは、いや望は危うくアンに身体を乗っ取られるところだったのだという。
そこで珠絵は、アンを眠らせ封印し、佳苗を外にだした。
望には自分はショウという人格でこれから佳苗の窮地にはそれを助け、眠っている望も含めて自分でコントロールしていくようにと指令を出したそうだ。
佳苗の苦しみや痛みは自分のものとして乗り越える力をつけさせるための試練だったと。

珠絵 「望はうまくやっていたわ。佳苗を助け成長し、あのじじいとバッタリ会った時もかなり取り乱したけど、あなたのお陰で平静を保てた。だけど、アンに要らぬ知識を与えたせいで、また危ない目にあってしまった。」
宗一郎「危ない目?」
珠絵 「今年の初めの手首を切られた事件よ。」
宗一郎「切られた?・・・やっぱり、あれは自分で切ったわけじゃないんだな?」
珠絵 「そうよ・・・自分で切っても良かったのかもしれないけどね、アンは。」
宗一郎「・・・?」

美鈴の言葉に傷つき、気を失った佳苗に替って望が外に出ようとしたところを邪魔され、争った挙句、アンが身体を支配した。
そして、美鈴に自分は佳苗ではなく望だと言ったそうだ。
それを聞いた美鈴は突然表情を変え「それならいらない」と言って、近くにあった花バサミで佳苗の手首を切りつけたという。
アンは自ら手首を出したそうだが、花バサミだったお陰で、傷はあまり深くならなかったそうだ。刺されなくてよかった。
俺はもう、頭が混乱して何が何だかわからなくなっていた。

珠絵 「アンは闇なの。心の闇。邪魔なだけだから封印したのに!」
宗一郎「ちょっと待て。人間誰しも心に闇くらいある。嫉妬や妬みやネガティブな考えや・・・だけど、それにうまく折り合いをつけて成長していくんじゃないのか?」
珠絵 「はぁ?そんなものないほうがいいに決まっているじゃない。不要なものは切り捨てるのよ。」
宗一郎「ばかかっ?切り捨てられるわけないだろう。自分の心だぞ。」
珠絵 「別々よ。アンは要らない子。少し時間がかかりすぎたけど望がもうちょっと強くなれば、佳苗もいらない。」

パチンッ!
俺は、思わず珠絵の頬を平手打ちしていた。
怒りで顔を赤くした珠絵は俺を睨みつける。

宗一郎「じゃぁ!佳苗は何の為に今まで一生懸命生きてきたんだ?望だってそうだ。佳苗が辛い時にしか外に出られない。痛みや苦しみを担当して成長するための試練とか言うけど、一人の人間には辛いことも幸せなことも両方あるんだ。だから生きていける。違うか!?」
珠絵 「・・・」
宗一郎「俺は、望に対しても佳苗に対しても怒ったことはなかった。まして手を上げることなど。ふたりとも良い子だ。・・・そうだ、良い子すぎるんだ。」
珠絵 「・・・何、・・・言ってるの?」
宗一郎「望にも佳苗にもその闇がなさすぎるんだ。お前が封印したからな。本当はその闇も受け入れたうえで、お前のような正義感をぶつけて闘わせて自分なりに答えを出していくべきなんだ。望自身が。」
珠絵 「・・・」
宗一郎「アンが、母さんに自分は望だと言ったのだろう?それは、望の本心なんじゃないのか?自分は望だって、母親に言いたかったんじゃないのか?佳苗が死んだ時も、そのアンに乗っ取られたとしても、たかが3歳だ。大声で泣いたり、暴れたりするくらいだろ?本当はその方が良かったんじゃないのか?」

俺は、望の気持ちを考えると、涙があふれてきた。
望なのに佳苗として生きなければならなかった、その望の心がどんなに痛かっただろうか。

宗一郎「珠絵。俺を叩け。さっきのお返しにひっぱたいてくれ。」
珠絵 「はっ?」
宗一郎「俺も、お前と同じだから。」

そうだ。俺も逃げた。
望を守ると言いながら、守るどころか閉じ込めて佳苗になれと言ったのだ。
本当はあの時、母さんに怒るべきだったんだ。傷ついた望のかわりに。

パチンっ!

目が覚めるような、珠絵の特大平手打ちが飛んできた。
確かに俺よりだいぶ身体は小さいが、そんなジャンプして叩かなくても・・・。

宗一郎「・・・いって・・・ぷっ・・・・ふははははははっ」

俺はなんだか嬉しくて大声で笑い出した。
望や佳苗なら、こんな風に俺をひっぱたくこともいないだろう。
すると、珠絵もつられて笑い出した。

宗一郎「お前も、今まではそんな感情をあらわにする性格じゃなかったんだろ?確かにアンを目覚めさせたお陰で、みんなに影響がでているのかもしれないな。」
珠絵 「そうね。佳苗も望にやきもちを焼いたりしている。望も・・・そう。望はきっと自分は望だって言いたいのかもしれない・・・」
宗一郎「いい子でいることだけが全てじゃない。望も佳苗も珠絵もそしてアンもみんなで協力し合ってこれからどうするか話し合ってみてはどうだ?」
珠絵 「そうね・・・望と佳苗がどうしたいかだわ。私やアンはそもそも表に出ることはほとんどなかったのだから。」
宗一郎「みんなで考えろ。自分の心と向き合うってことは、きっとそういうことだ。」
珠絵 「わかった・・・もう少し時間をちょうだい。」



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